トランス脂肪酸は血中脂質を悪化させる影響の強さから「超悪玉脂肪酸」と呼ばれている

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トランス脂肪酸は、分子構造中に「トランス型」の二重結合を持つ不飽和脂肪酸の総称で、牛肉や羊肉など反芻はんすう動物の肉や乳製品の脂肪(天然由来)に微量含まれ、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなどの加工油脂(人工由来)に多く含まれます。

また、油の高温調理や電子レンジ加熱でも発生することがあります。

トランス脂肪酸の摂取は、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすことで動脈硬化を進行させ、心疾患(狭心症、心筋梗塞など)のリスクを高めることが報告されていて、2003年にWHO(世界保健機関)、FAO(国際連合食糧農業機関)は「1日のトランス脂肪酸摂取量を総摂取エネルギーの1%未満に抑える」ことを勧告しました。

日本では、トランス脂肪酸の表示は義務化されていませんが、消費者庁が「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を策定し、食品メーカーに対して自主的な情報開示を推奨しています。

メーカーは、容器包装やホームページ、広告などでトランス脂肪酸の含有量を表示する取り組みを進めていますが、表示ルールとしては、食品100gあたり(飲料は100mlあたり)のトランス脂肪酸含有量が0.3g未満の場合、「0g」と表示できるとされていて、表示の誤差はプラス20%まで認められています。

欧米の研究では、トランス脂肪酸の摂取量が総エネルギーの2.8~4.86%以上のグループで、冠動脈疾患の発症率が高いことが確認されています。

また、トランス脂肪酸の摂取は、血液中の脂質異常を引き起こしやすく、肥満や2型糖尿病のリスクを高めると考えられていて、糖尿病患者がトランス脂肪酸を多く摂取すると、動脈硬化や心疾患の合併症リスクがさらに上昇します。

外食や中食(惣菜・弁当など)にはトランス脂肪酸が比較的多く含まれている傾向があり、使われる油脂はマーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなどが多く、これらはトランス脂肪酸含有量が高い加工油脂です。

これらの油脂は、調理後も食感や保存性を維持しやすいため外食産業で広く使われていて、家庭用よりも業務用のマーガリンやショートニングの方がトランス脂肪酸含有量が高い傾向があります。

具体的には、調査データによるとマーガリン類の平均値は業務用が8.184g/100g、家庭用が5.509g/100gで業務用の方が高いことが示されていて、ショートニングについても、含有量に大きな幅があるものの、業務用は1.150~31.210g/100gと高い数値が見られます。

これは、業務用が食感や加工性を重視して部分水素添加油脂が使われることが多いためです。

部分水素添加油脂は、植物油などに水素を部分的に添加して、固形または半固形状に加工した油脂で、トランス脂肪酸を多く含むため、健康リスクが指摘され、世界的に規制や使用削減の動きが進んでいます。

外食や中食(惣菜・弁当など)を頻繁に利用する場合は、トランス脂肪酸の摂取量が多くなりやすいため注意が必要です。

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