タケノコ(イネ科タケ亜科)は、主に温帯から亜熱帯の地域で食材として利用され、春に地下茎から出る若い竹の芽です。
旬は種類によって異なりますが、日本で一般的に食べられている孟宗竹(モウソウチク)という品種は、3月～4月が最も多く市場に出回る時期です。
タケノコは驚くべき成長力を持つ植物で、地表に現れた初期は1日に数センチメートル成長し、10日目には数十センチメートルから1メートル以上に成長することもあり、被子植物の中で最も成長が速い植物の一つとされ、通常2～3カ月で成長を止めます。
タケノコは栄養価の高い食材で、茹でタケノコ100gあたり、食物繊維3.3g、ミネラル(カリウム470mg、鉄0.4mg、亜鉛1.2mg、マグネシウム11mgなど)、ビタミン(葉酸63μg、ビタミンC 8mg、ビタミンE 1.0mgなど)、アミノ酸(チロシン、GABA、グルタミン酸などの遊離アミノ酸)など、さまざまな栄養成分を含んでいます。
チロシンは、うまみ成分の一つで、茹でたタケノコの節に白い結晶として見られ、このアミノ酸は脳内のドーパミンや、ノルアドレナリンの前駆体となり、ストレス緩和や集中力向上に寄与します。
その他にも、アスパラギン酸(疲労回復効果)、グルタミン酸(脳機能活性化)、プロリン(コラーゲン構成)などが豊富に含まれています。
部位による特徴
• 先端部：アクは強いが柔らかくてうまみがあり、香りが良い
• 中央部：柔らかくて甘みがあり、さまざまな料理に使える
• 根元部：太くて堅いが、アクは一番少ない
「京都式軟化栽培」は、200年以上の歴史を持つタケノコの栽培方法で、これは江戸時代後期には既にその萌芽が見られ、明治期後半には確立されていました。
主に京都の乙訓地域(現在の京都府長岡京市周辺)で行われている伝統的な技法です。
栽培の特徴としては、農薬・化学肥料を使用しない有機栽培で、土をやわらかくするために「敷き藁」や「土入れ」をし、1年を通じて丁寧な手入れを行うことで、高品質で柔らかく、大きなタケノコを生産することができます。
主な工程
1．親竹の選別：春の収穫と並行して、新しくタケノコを生む親竹を選びます
2．しん止め：親竹が必要以上に伸びないように先端を折ります
3．肥料：年3回（収穫後のお礼肥え、夏肥え、冬肥え）施します
4．敷きワラ・敷き草：秋から冬にかけて行います
5．土入れ：秋から冬にかけて行い、土壌をやわらかくします
6．収穫：「ホリ」という特殊な鍬を使用し、タケノコが地上に出る前に掘り起こします
この栽培方法により、エグ味が少なく、白くて柔らかい肉質の高品質なタケノコが生産されます。
特に「シロコ」と呼ばれる最高級品は、この方法で栽培されています。
京都式軟化栽培は、土壌条件(酸性の赤粘土で水はけが良い)と熟練農家の技術で、日本一と言われる品質のタケノコを生み出していて、環境に配慮した持続可能な農法であり、伝統的な技術と知識の継承にも貢献しています。
注意点
•タケノコは、シュウ酸を減らすためにアク抜きを必ず行うことが重要です
•食べ過ぎは消化不良の原因になる可能性があります
タケノコを茹でると、水溶性ビタミンであるビタミンCや、ビタミンB群は大幅に減少するため、栄養素を保持するには皮ごと茹でることが推奨されています。
