塩こうじは東北地方の三五八漬けの漬床がルーツとされ、古くから日本で使われてきました。
米こうじ・塩・水を混ぜて発酵・熟成させて作る日本の伝統的な発酵調味料で、こうじ菌が作り出す酵素(プロテアーゼ、アミラーゼなど)の働きによって、たんぱく質やデンプンが、アミノ酸(うま味)や糖(甘み)に分解され、食材の味を引き出す効果があります。
酵素の働きで肉や魚が柔らかくなり、魚の生臭さや野菜の青臭さを和らげる効果もあるので、肉や魚を漬け込んで焼いたり、野菜の浅漬け、炒め物やスープなど幅広い料理に使え、塩気をベースに、麹のうま味や甘み、発酵特有の複雑な香りが加わります。
塩こうじに含まれるオリゴ糖や食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やすことで腸内環境が整い、便通の改善や整腸作用も期待できます。
腸は免疫細胞の多くが存在するため、腸内環境が良好になることで免疫力の維持や向上にもつながります。
塩こうじは、ビタミンB1が豊富で、糖質を効率よくエネルギーに変換することで疲労回復に役立ち、ビタミンB2やB6も多く含まれているので、タンパク質の代謝や肌・粘膜の修復をサポートします。
ビタミンB群やコウジ酸が、肌のターンオーバーを助け、シミやそばかす、肌荒れの予防・改善に寄与し、特にコウジ酸は、メラニン生成に関わる酵素「チロシナーゼ」の働きを阻害し、メラニンの過剰な産生を防ぐことで、美肌効果が期待できます。
また、GABA(γ-アミノ酪酸)などの抗ストレス成分も含まれていて、脳の興奮を抑える神経伝達物質として働き、ストレスの緩和やリラックス効果をもたらすことが科学的にも報告されているので、塩こうじを日常的に取り入れることで、食事から自然に抗ストレス成分を摂取できるメリットがあります。

塩こうじはうま味成分が豊富なため、塩分を控えめにしても満足感のある味付けができ、減塩につながる効果も期待でき、手作りすれば添加物を使わず、発酵食品ならではの栄養も摂取できます。
基本の作り方(一般的な配合例)
• 米こうじ:100g
• 天然塩:30~35g(米こうじの30~35%程度)
• 水:100ml程度
作り方の流れ
• 米こうじと天然塩をよく混ぜる
• 水を加えてさらに混ぜる
• 清潔な容器に入れ、常温で10~14日ほど発酵・熟成させる(1日1回かき混ぜる)
• こうじが柔らかくなり、甘い香りがしたら完成
• 冷蔵庫で保存する
手作り塩こうじの日持ちは、保存方法によって異なります。
◇ 冷蔵保存の場合
密閉容器に入れて冷蔵庫で保存すれば、約6か月から1年ほど日持ちしますが、保存中もゆっくり熟成が進み、風味や色が変化していくので、使う際は清潔なスプーンを使い、カビや異臭がないか定期的に確認してください
◇ 冷凍保存の場合
小分けして冷凍庫に入れると約1年保存可能で、冷凍すると熟成がほぼ止まり、作りたての風味や色を保つことが可能で、塩こうじは完全に凍らないため、冷凍庫から出してすぐ使えます
塩こうじを自宅で作る場合、容器や道具をしっかり消毒し、清潔な環境で作ることが大切で、不衛生な環境では雑菌が繁殖し、食中毒のリスクがあります。
塩こうじを加熱せずに食する場合による食中毒リスクは、正しい作り方と保存方法を守れば比較的低いとされていますが、ゼロではありません。
発酵食品全般に共通するリスクとして、衛生管理や温度管理が不十分な場合、病原菌(ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌など)が繁殖し、食中毒を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。