専用水道とは、特定の施設や居住者に対して水を供給する自家用の水道で、水道事業としての一般的な水道とは区別されていています。
社宅や寄宿舎、療養所・病院などの医療施設、学校や福祉施設、大規模なオフィスビルや商業施設、レジャー施設、大規模工場や事業所で多量の生活用水を使う施設、共同住宅、井戸水や地下水を利用する施設などで、常時100人以上の居住者に水を供給するもの、または1日の最大供給量が20立方メートルを超える水道施設を指します。
専用水道は特定の人々にのみ給水し、一般の公共水道(市町村の水道)とは異なり、施設の管理者が運営していて、他の水道から供給を受ける水のみを水源とする場合でも、施設の規模や設備の基準によって専用水道として扱われるかどうかが決まります。
これは、水道法によって規定されていて、衛生管理や水質検査、技術管理者の設置などが義務付けられ、専用水道は、地域の公営水道事業とは異なり、施設ごとに責任を持って管理しなければならないという特徴があります。
要するに、専用水道は「特定の施設や一定以上の居住人口に対して設けられる自家用の水道」であり、施設の規模や利用人口に応じた法的規制が適用されるものです。
地方の専用水道は、施設ごとの管理体制のばらつき、施設の規模や予算の制約により管理が不十分、水槽や管路の状態の悪化が主な基準超過の原因として指摘されていて、適切な衛生管理の徹底や検査受検率の向上、必要な補助措置や指導が重要とされています。
一般的な水道(水道事業) | 専用水道 | |
---|---|---|
給水対象 | 地域の住民全般に広く給水 | 特定の施設の居住者や利用者のみ(例:寄宿舎、社宅、療養所、学校など) |
設置目的 | 公共の需要に応えるため | 自家用または特定者用の水道として設置される |
給水人口・規模 | 通常100人以上の地域住民に給水、規模は大きい | 給水人口100人超または1日最大給水量20立方メートル超の施設向けの水道 |
水源 | 主に公営の浄水施設から供給 | 井戸水や地下水・公営水道水など多様な水源を利用可能 |
管理体制 | 水道事業者(自治体など)が管理・運営 | 施設の管理者が管理し、水道技術管理者の配置が義務付けられる |
法規制 | 水道法に基づく厳格な監督と管理 | 水道法の適用を受けるが、施設単位での管理で幅が異なる |
水質検査 | 公的機関の定期検査と監督あり | 施設単位での検査義務、検査頻度や管理状況に差がある場合もある |

専用水道の危険性として、特に注目されている有機フッ素化合物「PFAS」の問題
• PFASは発がん性や免疫系への影響が指摘されている有害な化学物質で、自然環境でほとんど分解されず、土壌や地下水に長期間残留します
• 日本の専用水道での調査では、全国11都府県の44か所の専用水道でPFASが国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超えて検出され、特に自衛隊施設など一部の場所で高濃度の検出例があり、背景には過去にPFAS含有の泡消火剤が使われた可能性があります
• PFASは井戸水や地下水を水源とする専用水道で問題となっていて、飲用水として体内に入ることで発がんリスクや免疫低下、出生体重の低下、コレステロール上昇など健康への悪影響が懸念されています
• 環境省は2026年4月から、専用水道に対してもPFASの水質検査義務化や基準超過時の改善措置を法的に義務づける方針を示しています
• 専用水道は公営水道ほどの厳密な管理体制になっていない場合が多く、老朽化した水槽や管の衛生管理不良による汚染リスクも存在します
つまり、専用水道は特定の施設向けであるため管理責任者による個別の管理となり、水質問題が公営水道ほど徹底されていないケースが多く、有害物質のPFASの問題が顕在化していることから一定の危険性が指摘されていて、今後、法整備の強化と現場での管理改善が求められています。