2024年の世界のオーガニック市場は、健康志向や環境意識の高まりなどで、着実に成長を続けています。
オーガニック食品・飲料市場は2024年に約1,743億7,000万米ドル(日本円で約25兆円)の規模に達すると推定されていて、この市場は2024年から2029年にかけて、年平均成長率(CAGR)6.02%拡大し、2029年には2,335億6,000万米ドルに達すると予測されています。
世界のオーガニック市場は成長傾向にあり、特にヨーロッパ、北米、オセアニア地域で、その傾向が顕著で、消費者の健康意識と環境への配慮が、この成長を後押ししていると考えられています。
欧州ではオーガニック食品の消費が盛んで、特にスイスやデンマークの消費額が多く、デンマークでは市場占有率が13%に達しています。
世界のオーガニック事情について
有機農業の拡大
世界の有機農業取組面積は着実に増加し、2022年の時点で9,637万ヘクタールに達していて、これは2001年と比較すると約6倍の規模です。
地域別の有機農業取組面積
1.オセアニア:約55%(5,301万6,058ヘクタール)を占め、オーストラリアがオセアニア地域の有機農業面積のほぼ全てを占めています。
2.ヨーロッパ:約23%(1,780万ヘクタール)を占め、2番目に大きな面積です。
3.ラテンアメリカ:約13%(990万ヘクタール)3番目に大きな面積です。
国別の動向
•オーストラリア:単一国としては最大の有機農業面積(5,301万)を持ち、世界全体の約半分を占めています。
•イタリア:2024年の報告によると、有機農地面積が106万ヘクタールを超え、前年比4.5%増加で、これは国内の農地全体の19.8%に相当し、ヨーロッパで最も高い割合です。
•アメリカ:オーガニック市場が急速に拡大していて、厳格な認証制度(USDA)を設けています。
•フランス:政府主導で有機農業を推進していて、厳格な品質基準(ABラベル)を設けています。
認証と基準
2021年時点で、74カ国が公的な有機基準を設けていて、Demeter(世界で最も厳格なオーガニック認証)のような民間認証団体も存在し、より厳格な基準を設けている場合もあります。
課題
インフレーションの影響により、オーガニック製品の価格上昇が見られますが、従来の非有機製品と比較すると価格上昇率は低く、これは消費者にとって有利に働く可能性があります。
世界的に見ると、日本の有機農業面積は世界ランキング92位に位置しています。
農林水産省は「みどりの食料システム戦略」という目標を掲げていて、2030年までに有機農業面積を、63,000ヘクタールに増やす中間目標を設定し、2050年までに100万ヘクタール(全農地の約25%)に拡大するとし、日本政府は目標達成に向けて、除草ロボットや、AIを活用した土壌診断システムの開発支援、有機農産物を扱う企業・生産者への税制優遇などを検討しているそうです。