自然栽培米とは、農薬や化学肥料を使わず、自然の力だけで育てられた米のことで、一般的な有機栽培とも異なり、堆肥などの肥料も基本的に使わない点が大きな特徴です。
土が本来持っている力を引き出しながら、できるだけ人の手を加えずに育てていきます。
そのため、環境への負荷が少なく、自然に近い形で育てられる一方で、収量の安定には工夫と経験が必要とされます。
自然農法の土作りの基本は、土を「肥やす」より、土が自ら循環する状態を整えることで、耕しすぎず、化学肥料に頼らず、草や微生物の働きを活かします。
◇ 基本の考え方
・ 土をできるだけ自然のままに保つ
・ 雑草や刈った草を土の表面に敷き、有機物を循環させる
・ 微生物やミミズなど、土中生物の働きを活かす
・ 水はけと保水のバランスを整える
自然栽培米・無農薬栽培米・有機JAS米の違い
■ 自然栽培米
・化学合成農薬・化学肥料だけでなく、有機肥料や堆肥も使わない「無農薬・無肥料栽培」
・田んぼに外から何も持ち込まないことを基本とし、土壌の力と微生物の働きで育てる
■ 無農薬栽培米
・農薬は使用しないが、有機肥料や堆肥は使用するケースが多い
・「農薬のみ不使用」であり、自然栽培と比べると外部からの栄養投入がある
■ 有機JAS米など
・農薬は厳しく制限されるが、有機基準に適合した肥料や資材の使用は認められている
・自然栽培と比べると、人為的な管理や資材の投入が行われる
一般的な慣行栽培に比べて収量は少なく、雑草対策や手作業が多くなるため、労力と時間がかかりますが、化学物質に依存しない「自然に近い」栽培体系といえます。
土壌の力を活かしてゆっくりと育つため、「つや」「粘り」「豊かな風味」が特徴とされることが多く、農薬や肥料を使用しないことから、「自然に近い」「余計なものが少ない」というイメージで選ばれることもあります。
一方で、自然栽培には全国統一の法的基準がなく、「農薬・肥料不使用」を実践する生産者が独自に名乗っているケースが多いのも実情です。
購入の際は、生産者や販売元の栽培方針を確認しておくと安心です。
また、手間と時間がかかる分、価格は高めになりやすく、産地や農家によっては流通量が限られる場合もあります。

日本の一般的な米づくりは、化学肥料の原料を海外に依存していて、輸入資源に支えられている側面があります。
なぜ「輸入の肥料に頼っている」のか
◇ 化学肥料の原料依存
• 窒素(尿素など)、リン、カリウムといった三大肥料の原料は、日本国内に十分な資源がないため、ほぼすべてを海外からの輸入に依存しています。
• 依存先は、石油・天然ガスを産出する国や、リン鉱石の産出国などに偏っていて、価格変動や地政学リスクの影響を受けやすい構造です。
◇ 稲作のコスト構造
• 米の生産費に占める肥料費の割合は数%程度ですが、大規模経営になるほど使用量が増えるため、肥料価格の高騰は経営に直接影響し、「農業が続けにくい」という声が出る背景の一つです。
◇ 有機肥料や堆肥も輸入依存
• 家畜の糞尿を活用した有機質肥料や堆肥も、日本の飼料自給率(約26%)が低いことから、間接的に輸入資源に依存しています。
• 飼料の多くが海外由来であり、その生産過程でも化学肥料などが使用されています。
• 化学肥料だけでなく、有機肥料の土台も輸入資源に支えられているのが現状です。
なぜ自然栽培が注目されるのか
農林水産省は、化学肥料の供給リスクを踏まえ、2030年までに使用量を20%削減する目標を掲げていて、窒素やリンの循環利用の強化や、下水汚泥・骨粉などの資源活用も検討されています。
こうした背景から、「肥料・農薬に依存しない」自然栽培米や、土壌の循環を重視する取り組みは、「輸入肥料依存」という構造的なリスクに対する一つの選択肢として注目されています。
自然栽培米は、手間と時間をかけて育てられる分、一般的な米とは異なる価値を持っています。
特徴や背景を理解したうえで、自分に合った選択をすることが大切です。

