遺伝子組み換え食品とは、別の生物の細胞から取り出した有用な性質を持つ遺伝子を、その性質を持たせたい植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質を持たせる技術を用いて開発された作物や、これを原料とする加工食品と定義されています。
この技術の主な特徴は
従来の品種改良では不可能だった特性を持つ農作物の開発が可能。
自然では交配しない生物間での遺伝子の移植が可能。
生産者や消費者の求める性質を効率よく付与できる。
遺伝子組換え技術の例としては、害虫抵抗性のとうもろこし、除草剤耐性の大豆などで、これらの技術は食糧問題に貢献する可能性がありますが、同時に安全性への懸念も存在します。
日本における安全性確保の仕組み
食品衛生法および食品安全基本法に基づく食品としての安全性評価。
飼料安全法および食品安全基本法に基づく飼料としての安全性評価。
カルタヘナ法に基づく生物多様性への影響評価。
これらの法律に基づき、科学的な評価が行われ、問題がないと判断されたもののみが栽培や流通を許可されるとのことです。
主な遺伝子組み換え食品は
•アメリカ合衆国：世界最大の遺伝子組換え作物生産国で、トウモロコシ、大豆、綿花(コットン繊維、マーガリン)などが広く栽培されています。
•ブラジル：アメリカに次ぐ大規模な生産国で、特に大豆とトウモロコシの栽培が盛んです。
•アルゼンチン：ブラジルに続き、大豆とトウモロコシの主要生産国です。
•カナダ：ナタネ(キャノーラ油)やトウモロコシ、大豆の栽培が行われています。
•インド：綿花(コットン繊維、マーガリン)の遺伝子組換え品種が広く栽培されています。
これらの国々では、遺伝子組換え作物の栽培面積が年々増加していて、食糧生産の効率化や農薬使用量の削減などのメリットが評価されているそうです。
消費者庁によると、日本は遺伝子組換え作物の主要な輸入国の一つとし、具体的な輸入量も掲載しています
•大豆：日本は年間約320万トンの大豆を輸入しており、そのうち約93%が遺伝子組換え大豆です。
•トウモロコシ：年間約1,600万トンのトウモロコシを輸入しており、そのうち約90%が遺伝子組換えトウモロコシです。
•ナタネ(キャノーラ)：年間約230万トンのナタネを輸入しており、そのうち約95%が遺伝子組換えナタネです。
これらの遺伝子組換え作物は、主に食用油の製造、飼料、加工食品の原料として使用されています。
厚生労働省は2001年4月から遺伝子組換え食品の安全性審査を食品衛生法上の義務とし、安全性審査を経た遺伝子組換え食品のリストを公開していて、現在のところ、遺伝子組換え食品を食べて健康に悪影響を及ぼした例は報告されていないとのことです。
遺伝子組換え食品に関する情報は随時更新されていて、消費者が正確な情報を得られるよう、政府機関によって定期的に情報提供が行われているそうです。
