ニンニクは、ヒガンバナ科ネギ属に属する多年草で、学名は『Allium sativum』 です。
紀元前1550年頃のエジプトの医学書「エーベルス・パピルス」には、ニンニクが薬として記載されているそうで、古くから薬用植物としても重宝されてきました。
日本最古の書物「古事記」や、最古の医学書「医心方」にニンニクの記述があり、平安時代に中国を経由して日本に伝わったとされています。
江戸時代の百科事典「和漢三才図会」には、青森のニンニクの大きさについての記述があります。
「にんにく」は、仏教の影響で「忍辱(にんにく)」が語源という説があり、「侮辱や苦しみに耐え忍び心を動かさない事」という意味があるそうです。
ニンニクの栄養素の中で最も重要とされるのは「アリシン」です。
アリシンはニンニクの独特な風味や辛みの主成分で、抗菌作用、抗酸化作用、免疫力向上、血行促進、疲労回復など多くの健康効果を持っています。
アリシンの効果は
•抗菌作用: ニンニクはサルモネラ菌や大腸菌などに対する抗菌効果があります。
•抗酸化作用: フリーラジカルによる細胞の酸化的ダメージを防ぐ作用があり、心臓病や、がんのリスクを低減する可能性があります。
•免疫力向上: 定期的な摂取が免疫系を強化し、病気にかかりにくくする効果があるとされています。
•血中コレステロールの調整: アリシンは血中コレステロールの上昇を抑える働きがあり、心血管疾患のリスクを低下させる可能性があります。
•疲労回復: ビタミンB1の吸収を助けることで、エネルギー代謝を促進し、疲労回復に寄与します。
ニンニクにはアリシン以外にもビタミンB6、ビタミンC、マンガン、カリウム、セレンなどのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
ニンニクとビタミンB1を含む食品を一緒に摂取することで、ビタミンB1の吸収効率が高まり、その効果を最大限に引き出すことができます。
ニンニクのアリシンがビタミンB1の吸収を向上させるメカニズムは
•アリチアミンの形成
アリシンはビタミンB1(チアミン)と結合してアリチアミンを形成します。
このアリチアミンは、通常のビタミンB1よりも吸収率が高くなります。
•脂溶性の向上
アリチアミンは脂肪に溶けやすい性質を持ち、腸管からの吸収率が通常のビタミンB1の10〜20倍に向上します。
•長期滞留性
アリチアミンはビタミンB1よりも体内に長く留まる特性があり、各臓器へのビタミンB1の供給効率が高まります。
•酵素耐性
アリチアミンは腸内でビタミンB1を分解するアイリナーゼという酵素に対して耐性があり、ビタミンB1が分解されずに効率よく吸収されます。
•代謝促進
アリチアミンは体内でビタミンB1に戻り、糖質の代謝を促進し、エネルギー生産が効率化され、疲労回復や持久力向上につながります。
•ニンニクは強い刺激性を持つため、過剰摂取すると胃痛や下痢、胃炎などの胃腸障害を引き起こすことがあるので、特に空腹時に大量に摂取は控えてください。
•アレルギーを持つ人もいるので、皮膚の発疹、かゆみ、呼吸困難など、アレルギーの疑いがある場合は摂取を控えてください。
•血液をサラサラにする効果がるので、血液凝固を抑制する薬を服用している人は、薬の効果が増強される可能性があるため、注意して下さい。
推奨摂取量は、1日あたり1〜2片のニンニク(約4〜8グラム)が適量とされています。
適度な量のニンニクは、健康に良いとされているので、過剰摂取に気をつけて食事に取り入れてみてください。