古代小麦は栄養価が高くグルテンの含有量が少ない

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古代小麦とは、現代の一般的な小麦品種が登場する以前から栽培されていた、原始的な小麦の品種を指します。

古代小麦の栽培は約1万5千年前に始まったとされていて、ヨーロッパでは9000年以上前から栽培されていたことが研究で明らかになっています。

古代小麦は栄養価(タンパク質、ビタミン、ミネラルなど)が高く、独特の風味を持つことから、健康志向の高まりとともに注目を集めていて、現代小麦に比べてグルテンの含有量が少なく、消化しやすい傾向があり、グルテンアレルギーを発症しにくいとされています。

イタリアのシチリアで古代小麦が復活しています。
シチリア原産の古代小麦を蘇らせた、モリーニ・デル・ポンテのフィリッポ・ドラゴ氏は、シチリア島南西部にある老舗の小麦精製工場「モリーニ・デル・ポンテ」の4代目オーナーです。

彼はシチリア原産の古代小麦の復活に尽力し、地域の農家や研究者と協力して、絶滅の危機に瀕していた伝統的な小麦品種を再び栽培可能にしました。

フィリッポ・ドラゴ氏の取り組みは、地元の農家との協力を重視し、古代小麦の種子を博物館から譲り受けるなどして、シチリアの伝統的な小麦品種を復活させ、彼の努力によって、イタリア全体でもオーガニックな古代小麦が再び市場に出回り、消費者の間で注目を集めています。

古代小麦の主な種類は

スペルト小麦
スペルト小麦は現代の普通小麦の原種にあたる古代穀物でナッツのような風味があり、タンパク質やビタミン、ミネラルが豊富で、非常に硬い皮殻に覆われているため、化学肥料や農薬を使わずに栽培が可能です。

ファッロ小麦
イタリアで古くから栽培されている古代小麦の一種です。

サラゴッラ小麦
これもイタリア原産の古代小麦品種の一つです。

カムット小麦
エジプトの古代遺跡から発見された種子から復活させたとされる古代小麦で、オーガニック栽培が義務付けられています。

一粒小麦
最も原始的な野生小麦で、染色体数が7対14本のものです。

二粒小麦
一粒小麦と野生のクサビコムギが交配してできた小麦で、染色体数が14対28本です。

これらの小麦は、遺伝子操作や人工的な品種改良などが行われていないため、栄養価が高く、消化しやすいという特徴があります。

古代小麦は現代の品種に比べて収穫量が少ないため、商業的な栽培が難しいです。

現代小麦は収穫量を増やすために品種改良が行われていますが、古代小麦はそのような改良がされていないため、同じ面積で得られる収穫量が少なく、古代小麦の品種はそれぞれ異なる成長速度を持っていて、一斉に収穫することが難しいので、収穫のタイミングを見極める必要があり、管理が複雑になります。

古代小麦の大規模な栽培は経済的に成り立ちにくく、現代の農業においては困難を伴いますが、その栄養価の高さや独特の風味、グルテンアレルギーを発症しにくい特性などから、健康志向の高まりとともに一部の地域や農家で注目されています。

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