LDL受容体の機能が低下するとLDLコレステロールが血液中に残留し動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まる

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飽和脂肪酸ほうわしぼうさんは、脂質を構成する脂肪酸の一種で、主に動物性の脂肪(肉類、乳製品など)や、一部の植物性油脂(ココナッツオイル、パーム油など)に多く含まれています。

飽和脂肪酸を多く摂取すると、血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が上昇しやすくなり、動脈硬化(血管の壁にコレステロールが沈着して硬化する状態)を促進し、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まります。

少量であれば、細胞膜の構成成分やホルモン(特にステロイドホルモン)合成の原料として重要な役割を果たします。

そのため、日本人の食事摂取基準では、飽和脂肪酸の摂取量をエネルギー比で7%未満に抑えることが推奨されています。

判定区分LDLコレステロール値(mg/dL)
正常(基準範囲)60~119
境界域120~139
高値(脂質異常症の診断基準)140以上
異常低値59以下

飽和脂肪酸の摂取が増えると、肝臓でLDL受容体の活性が低下し、肝臓へのLDLコレステロールの取り込みが抑制され、その結果、血液中のLDLコレステロール濃度が上昇します。

逆に、n-3系多価不飽和脂肪酸たかふほうわしぼうさん(えごま油、アマニ油、ナッツ類、魚介類(特に青魚)、豆類など)はLDL受容体の活性を高め、LDLの肝臓への取り込みを促進して血中コレステロールを下げる効果があります。

肝臓の細胞表面に存在するLDL受容体は、血液中のLDLコレステロールを結合して細胞内に取り込み、取り込まれたLDLコレステロールは細胞内で分解され、細胞膜の構成やホルモンの合成などに利用されます。

体内のコレステロールの約3割は食事から摂取、約7割は肝臓で合成され、肝臓で作られたコレステロールは胆汁中にそのまま分泌されるか、胆汁酸に変換されます。

胆汁酸やコレステロールは胆汁として小腸に分泌され、最終的に一部が便として体外に排出されます。

この排泄プロセスには、食事内容や肝臓の機能が大きく関与していて、LDL受容体が減少・機能低下すると、LDLコレステロールは肝臓で十分に処理できず、血管内に蓄積しやすくなり、動脈硬化リスクも高まります。

このように、コレステロールの排泄と体内バランスの維持には肝臓の代謝機能と食事が重要な役割を果たしています。

LDLコレステロール(悪玉)HDLコレステロール(善玉)
役割肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ余分なコレステロールを全身から回収し、肝臓に戻す
働きのイメージコレステロールを体中に届ける余分なコレステロールを回収する
健康への影響増えすぎると血管壁に蓄積し、動脈硬化や心疾患のリスク増多いほど動脈硬化予防につながる

青魚、大豆製品、オリーブオイル、アボカド、野菜、きのこ類、海藻類、玄米、ナッツ類などがHDLコレステロール(善玉)を増やす食品です。

運動だけでは、LDLコレステロール自体を体内で分解することができません。

運動は、コレステロールの運搬、排泄促進、血中脂質バランスの改善に寄与しますが、LDLコレステロールそのものを分解・消失させる作用はありません。

LDLコレステロールを下げるためには、運動よりも「食事の見直し」が重要で、特に飽和脂肪酸の摂取量を減らすことが必要です。

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